どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「ただいま~!つっかれた・・・。」
僕は玄関でユキに抱きついて、バイトの疲れを癒す。
「お帰り。ハルの好きなカレーだよ!」
ただいまのチューは、うがいをしてからって決まりがあるんだ。
僕は、いつものようにうがいをして、甘えるようにキスをした。
「聞いてよ。今日もさゆりさんにいじめられたんだよ。からあげの色が悪いって。キツネ色ってどんな色だよな??」
「あははは。また??こないだもからあげの事で怒られてたよね?」
ユキは僕の頭をよしよししながら、優しいキスをくれる。
「なぐさめてよ、ユキ。」
「ご飯食べてからね。」
思えば、僕はバイトから帰るといつもさゆりさんの話をしていたかもしれない。
それは、バイト先でその日会うのが店長とさゆりさんだけだったからなんだけど。
僕の後の時間は決まって店長だったから、店長とは顔を合わすが厳しい人であまり好きではない。