どくんどくん2 ~あの空の向こう~

「ちょっと!!じん君。あんたなめてるでしょ、あたしのこと!!」


また5分遅刻した僕の背中をバシバシと叩くさゆりさん。


「これからは遅れる時連絡くれる?迷惑なの!!メールアドレス教えて!」


僕はこの時、とても自然に何のためらいもなく、さゆりさんに携帯番号とメルアドを教えていた。

これが、さゆりさんの作戦だったのか、本当に僕の遅刻が迷惑だったのかはわからない。


僕は、学校でも携帯番号やメルアドは必要な数人にしか教えていない。

特に女の子には、はぐらかして教えないようにしていたはずだけど・・・。


さゆりさんのあまりにも自然な誘導で僕はスラスラと教えてしまった。


さゆりさんが帰った後すぐに僕の携帯が鳴った。


『もしもし?これ、あたしの番号だから、ちゃんと登録しといて。』


僕は言われるがままにさゆりさんの番号を登録した。

その時に気付いたことは、僕の携帯のメモリーには女の子ってほとんどいないってこと・・・。


だからって訳じゃないが、僕は運転中とかトイレ中とか、自分が携帯に出られない時にユキに代わりに出てもらったりしていた。

お風呂に入ってるときなんて、僕にかかってきたシンからの電話にユキが長電話してることもある。


さゆりさんからかかってくることなんて・・ないよな?

大丈夫だよな・・。


僕は、バイト中何度も携帯を見ている自分に気付いた。


さゆりさんからのメールを待っている自分に気付き、僕は冷蔵室に駆け込んだ。

自分の顔を何度も叩いた。


携帯を鞄の奥へと押し込んだ。










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