どくんどくん2 ~あの空の向こう~
≪じん君、バイト終わる時間にコンビニの前に行くからからあげ揚げて持ってきてね♪≫
いつもの口調とは別人のようなかわいいメールだった。
僕は、どうして僕の終わる時間にさゆりさんが来てくれるのかわからなかったが、そのメールを見た後、僕の胸が高鳴るのを感じた。
そして・・・
僕はもう1通のメール、ユキからのメールを読むのも忘れ、からあげを揚げに行っていた。
「あれ?どうしたの、お前。もう上がっていいぞ?」
店長は、私服で戻ってきた僕を見て、不思議そうな顔をした。
「ちょっと・・からあげ揚げる練習していいですか?」
僕は、バイト熱心な優等生だと思われただろう。
店長が接客している後ろで、こっそりから揚げを5つ頂いて、店の前へ急いだ。
「遅い~!!」
そこには、いつもと違う大人びたさゆりさんがいた。
ワンピースにクルクル縦巻きした髪型で、座っている彼女は僕を見上げて笑った。
「今回のから揚げは、満点ですよ!」
僕はいつも通りに話そうと思ったが、あまりのギャップに目を見れずにいた。
さゆりさんは、座ったまま口を開けた。
「あ~んしてよ。」
僕はその時、すっかりユキのことを忘れてしまっていたのかもしれない。