どくんどくん2 ~あの空の向こう~
僕は、真っ暗な部屋の鍵を開ける。
部屋の中には、いい匂いが漂っていた。
僕の大好物、クリームシチューが鍋の中で悲しそうにしていた。
さっきまで着けていたエプロンは、戻ってくるはずのユキを待っているようだった。
僕はその時・・・ハッとした。
思い出した・・・。
僕は慌てて、携帯を取り出した。
バイトが終わってから、ユキからメールが来ていたことを思い出した。
僕はさゆりさんからのメールを先に見て、そのままから揚げを揚げに行き・・
ユキのメールを忘れていた。
・・・・・・・・・・・・・
≪おつかれさま。日記を見ていて思い出したよ~! 今日は2人の付き合い記念日★駅前のケーキ屋さんにケーキ買いに行こうと思うので、バイト終わる時間にケーキ屋さんで待ってるね。ハル、だ~いすき!!!≫
僕は、なんて馬鹿な男・・・。