どくんどくん2 ~あの空の向こう~

「どうしたんですか・・?」

僕は、薄暗い公園のベンチに座るさゆりさんを見つけた。

出勤前であることをうかがわせる服装と髪型だった。

紫のワンピースが、公園の灯りに照らされていた。


「ごめん・・・!!」



!!!!



さゆりさんは、僕を見つけるとすごい勢いで僕に抱きついた。


細い体が、震えている。


僕は、何がなんだかわからないまま、さゆりさんの肩に手を回した。


この状況で、他にどんな行動ができるというのか。


「何があったんですか?」


僕は、さゆりさんを落ち着かせる為にも、動揺を隠しながら声をかけた。


「あたし・・何も・・してないのに・・。お金なんて・・盗んで・・ないのに・・」


僕は、泣きながら話すさゆりさんの聞き取りにくい声を必死で聞き取る努力をしていた。


「え?お金??どういうこと?」


僕は、さゆりさんの肩を強く握り、顔を覗きこんだ。


「てん・・ちょうが・・・」




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