どくんどくん2 ~あの空の向こう~
違う。
違う。
全然違う。
これはキスじゃない。
ただの、肌と肌の触れ合いだ。
手が触れたのと同じことだ。
キスではない。
僕が求めているのは、ユキだけだと心から思った。
ここまで来て、やっと心から気付いたなんて遅すぎる。
さっきまでさゆりさんにときめいていた僕は、今の僕から見ると汚れてる。
「彼女・・いてもいいから、支えになってほしいの・・お願い。」
さゆりさんは、僕の腰に手を回した。
慣れた手つきで・・・。
大抵の男は、これでさゆりさんに落ちるのかもしれない。
だけど、僕はそんな手馴れた誘惑で、過ちを犯したりはしない。
さっきのキスのおかげで気付いたよ。