どくんどくん2 ~あの空の向こう~
第31話(ひまわり)
小さな雲がいくつも空に浮かんでいた。
秋らしい、涼しげな雲が楽しそうにかけっこしていた。
「ごめんな、ユキ・・」
高校時代よく2人で行った、高台にある公園へ出かけた。
ユキは、雑草をくるくると指に巻きつけて遊んでいる。
「ゆうじ君、きっと見てたんだね。」
ユキは、その雑草をパッと空へ投げた。
風に乗り、舞い上がるその雑草を見つめながら、ユキは僕の足に手を置いた。
「バカなことしてる私達を見て、なんとかしなきゃって思ったんだよ。」
ユキは、草の上に寝転んだ。
僕もつられて、寝転んで空を見上げた。
「ゆうじは、本当に僕らを見ているんだな。」
僕は、ユキの手を握り、雲の動きを眺めていた。
「ごめんね。ハル・・・私、最低だった。ちゃんと向き合うこともできなくて・・」
「僕こそ、本当にごめん。怒って当然だよ。ユキの家にも行ったんだけど・・会えなくて、もうどうやって仲直りしていいかわかんなかった。」
「そこに、ゆうじくんの電報が来たってわけね。」
ユキは寝そべりながら、僕の方に体をひねった。
「多分、僕らがケンカしたあの4年目の日に、届いてたんだ。実家に届いてたから、今日僕が実家に帰って気が付いたんだけど。これもゆうじの演出かな・・」