どくんどくん2 ~あの空の向こう~
みんなの祝福の笑顔が眩しくて目を細める。
ユキが顔いっぱいで笑う。
「ハル・・・今日の夜頑張っちゃう??」
相変わらずのユキに、僕は癒され、ホッとする。
ここが僕の居場所。
僕らは決めていた。
いつか生まれる僕とユキの子供の名前・・
ゆうじのように優しい強い心を持った人になってもらいたい。
男の子でも
女の子でも
『悠』
照明が消え、僕ら2人をスポットライトが照らす。
この結婚式までの道のりは決して、平坦なものではなかった。
僕の気持ちが揺れたこともあった。
同じようにユキも迷った。
だけど、僕らは気付いた。
この愛は特別だ・・・と。
この愛を手放したら後悔する…と。
一生懸命選んだ結婚式のドレスも
BGMも、テーブルクロスも、どれもどれも忘れられない宝物。
この日の為に頑張ってきた全てのことが、素晴らしい宝物となって、僕らの心に残るだろう。
僕とユキはみんなの笑顔と拍手の中を
ゆっくりと
歩きながら囁き合う。
『絶対幸せになろうな・・』
真っ青な空から聞こえた声。
僕らの心に届いたあいつの声。
『おめでとう!!ハル君、ユキちゃん!!』
この場にどうしていないんだろう…という気持ちはやっぱり消えない。
ここに一番いて欲しい人。
ここで、僕らの為に歌って欲しかった。
神様はどうしてあいつを連れて行ったんだろう。
きっと神様は答えてくれないだろう。
だけど、何となくだけど…みんなが感じてること。
あいつの死が僕達に残したものは、とてつもなく大きいってこと。
生きることの大事さ、命の尊さと儚さ。
あいつは、天国に行っても、僕達に語りかけることをやめない。
今でも僕達は、ゆうじから教わることが多い。