どくんどくん2 ~あの空の向こう~



「新曲作りが忙しいって言ってたよ。恋愛したことないから恋愛の歌が難しいって。」


「じゃあ、またハルが主役の歌かもな。しばらく会ってねーな。3月まで帰ってこないのかな。」


路上ライブと、ライブハウスでのライブで全国を回っている2人とは、しばらく会ってない。


ゆうじの歌にみんなが惹かれるのは、ゆうじが人の弱さや悲しみを知ってるからかもしれない。




僕の幼なじみのゆうじは、小学校の頃からいじめられていた。


僕は、ガキ大将だったけどいじめることがキライだった。


ゆうじが言ってた。


『いつもハル君に助けてもらった。ハル君が守ってくれた』って。


それなのに、中学に入り僕はゆうじを見捨てたんだ・・。

今でも思い出すと、胸の奥が痛む。

転校を余儀なくされたゆうじは、

転校先でもいじめられ、

自殺未遂をした。


自殺をした、と言ってもいいかもしれない。



奇跡的に、神様から命をもらったんだ。



再会した僕は、ゆうじの車椅子姿にショックを隠しきれなかった。



自分のせいだと責める僕に、ゆうじは優しく微笑んだ。


『ハル君のおかげで僕楽しかったんだ。ハル君は憧れなんだ』って。



それから、高校でいじめられていた大野君にゆうじを紹介した。

ゆうじと会わせたその日に2人は意気投合してたな。

どの出会いもが、とても意味がある。


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