どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「遅くなって悪かったね。ちょっと寄り道をしてしまって・・・。これみんなで食べて!」
お父さんは、これまたお洒落そうな店のケーキを買ってきてくれた。
そして、僕にウインクをしてくれた。
親譲りだったのか・・・
あのユキのウインクのセクシーさも・・・。
「じゃあ、始めますか!!ユキちゃんのお父さんお帰りなさいパーティー!!!」
水野さんの掛け声で乾杯した。
もちろん全員アイスティーで。
久しぶりに見るシンとユミちゃんの姿。
見ていてホッとする2人だって改めて感じた。
クールなユキのお兄さんは離れたソファに腰掛けていた。
ちゃんと話したことがなかった僕は、少しびびりながらも近づいた。
「あの、隣座っていいですか?」
「あ・・ああ。もちろん!」
笑うと別人のように優しく、穏やかな表情になる。
お兄さんも、苦労してきたんだよな。
いろんな想いで今日の日を迎えていることだろう。
「君が説得してくれたんだって?親父のこと。」
「説得なんてそんな・・。」
真っ直ぐな目はユキに似ている。
「ありがとな。俺はともかく、ユキと母にとってはこれが一番良かったんだ。」
お兄さんは、アイスティーの氷を手でクルクルと回した。
「お兄さんは・・・」
僕は、チラっとお父さんの方に視線を移した。