どくんどくん2 ~あの空の向こう~

「遅くなって悪かったね。ちょっと寄り道をしてしまって・・・。これみんなで食べて!」

お父さんは、これまたお洒落そうな店のケーキを買ってきてくれた。

そして、僕にウインクをしてくれた。


親譲りだったのか・・・

あのユキのウインクのセクシーさも・・・。





「じゃあ、始めますか!!ユキちゃんのお父さんお帰りなさいパーティー!!!」



水野さんの掛け声で乾杯した。

もちろん全員アイスティーで。




久しぶりに見るシンとユミちゃんの姿。

見ていてホッとする2人だって改めて感じた。


クールなユキのお兄さんは離れたソファに腰掛けていた。


ちゃんと話したことがなかった僕は、少しびびりながらも近づいた。


「あの、隣座っていいですか?」

「あ・・ああ。もちろん!」


笑うと別人のように優しく、穏やかな表情になる。


お兄さんも、苦労してきたんだよな。

いろんな想いで今日の日を迎えていることだろう。


「君が説得してくれたんだって?親父のこと。」

「説得なんてそんな・・。」


真っ直ぐな目はユキに似ている。


「ありがとな。俺はともかく、ユキと母にとってはこれが一番良かったんだ。」


お兄さんは、アイスティーの氷を手でクルクルと回した。


「お兄さんは・・・」



僕は、チラっとお父さんの方に視線を移した。

< 30 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop