どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「俺はもう諦めてた。親父が変わることなんて最初から期待してなかったよ。だから、離婚って言われても悲しくはなかった。やっぱり、俺らを捨てるんだなって思った。でも、考え直してくれて、泣きながら謝った。その姿見てると・・・なんか、今までのことが全部嘘だったようなそんな気持ちになった。これが血のつながりなのかな。」
お兄さんの気持ちは痛いほどよくわかる。
期待しても期待してもいつも裏切られてきて、もう期待することをやめてしまってたんだ。
「俺も医者目指してるんだ。一緒にゆうじ君を立たせてやりたいな!!」
僕は深々と頭を下げて、お兄さんと握手をした。
ゆうじが僕たちを部屋の真ん中に集めた。
「新曲ができました。一番最初にみんなに聴いてもらいたかった。まだまだ練り直してるとこなんだけど聞いてください。『絆』です!!」
部屋の明かりを少し暗くして、みんなが座った。
泣かないようにしようと思えば思うほど、いつも泣いてしまう歌声。