どくんどくん2 ~あの空の向こう~
第6話(やきもち)
「今の電話誰だよ!」
せっかくの2人の時間を邪魔するユキへの電話に苛立ちと不安が隠せない。
日曜の午後、一週間ぶりに会えたってのに。
「学校の友達だよ。なに~?ハルったらやきもち焼いてんの?」
「声漏れてたよ。男だろ・・・。」
柄にもなく不機嫌な僕に、ユキが低姿勢で謝る。
「ごめんね。電源切っておいたら良かったよね。同じクラスの男の子なんだけど、明日先輩の追い出し会やるからっていう電話だったんだ・・。ごめんね・・。」
そりゃ、当たり前だよな。
僕の知らない友達がいっぱいいて、ユキにはユキの世界がある。
「僕こそごめん。なんか・・感じ悪いよな。やきもち焼いちゃった・・。」
「ううん。嬉しいよ!めったにそんなハル見れないもん。」
ユキは、甘えたような声で話しながら、僕の隣に座る。
いつもなら、このままイチャイチャしながらベッドへ流れ込むんだけど、今日はまったり気分。
「高校の頃は良かったな。毎日会えたから、こんな気持ちにはならなかった。」
「ハル、私のこともっと信じて。私もハルを信じてる。会えないときは、妄想しちゃって勝手に不安になったりするけどね。」
「そっか、ユキもあるんだ。僕もある。見えないから、想像ばかり膨らむんだ。僕が一目ぼれした人だから、モテるに決まってる・・だから、心配になることがある。」
水野さんのせいだ。