どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「メール見て・・。」
ユキが僕にメールの画面を見せた。
≪明日、ゆきちゃん車で送ったるわ!夜景でも見にいかへんか??≫
「・・・はぁ。なんて言ったらいいんだろう。」
「・・・・・・・」
黙り込むユキ。
「関西人かよ・・。しかも車持ってんのかよ・・。」
「大阪から出てきた人。今21歳だったかな。」
別れ話を切り出されてる男の気持ちになってきていた。
「そっか・・そりゃ面白いだろうな。大阪の人だったら。僕も、車の免許取りたいな。そしたら、夜景見に連れて行ってやれるのに・・・。」
「最近、こんな風なメールがよく来てて、ハルに言おうかどうか迷ってたの。ごめんね・・。彼氏がいるってちゃんと言ってるんだよ。」
「でも、同じクラスで仲良くしてるヤツなんだろう・・僕が出て行って、ややこしくしちゃったらまずくない?」
「ただ迎えにきてくれるだけでいいの。ハルにはかなうはずないってあきらめるよ!」
「ユキは男心わかってないな~。よけい燃えるんじゃないかと心配だよ。」
はぁ・・とため息をつくユキ。
「じゃあ、いい!!自分で断るから!」
「ごめんごめん。迎えにいくよ。車じゃないけどね。」
なんとか、いつもの空気に戻ったこの部屋。
だけど、何かが違う気がした。
「もうすぐ、お父さん迎えに来るんだ。ハルの晩御飯だけ作って帰るね。」
今日は、家族で食事に行くんだって。
ユキのお父さんは、とても良い『パパ』をしてる。
ユキは、こんなに楽しい家って今までになかったと話した。
何気ない幸せがたくさん積み重なって大きな幸せになる。