どくんどくん2 ~あの空の向こう~

「おぉ!ハル君。ユキを取ってしまって悪いね。また今度ゆっくりうちへおいで。」

ユキのお父さんは、車の窓から片手を出して僕に手を振った。

ユキは、左手に携帯を持ちながら、僕に手を振った。


なんだよ・・。


誰からのメールを待ってるんだ・・・。


明日、迎えに行かなかったらユキはそいつとドライブに行ってしまうかも知れない・・・。

そんな不安が、もくもくと膨れ上がってくる。

目をつぶると、会ったこともないその男とユキの姿が浮かぶ・・・。


やばいな・・僕。

それもこれも、水野さんのせいだ。

あんなこと言うから・・・。



翌日、夜の9時にユキ達の集まる店の前で待つ僕。

どうしてこうもマイナス思考になるんだか・・。最近の僕。


店内から聞こえる楽しそうな笑い声に涙が出そうになる。

そこに僕の居場所はない。



約束の時間を過ぎても、お開きになる様子はない。

僕は水野さんに電話をかけた。


『もしもし、ハルっぺどうしたんだよ?』

明るい水野さんの声を聞きたかっただけなんだ。

『どうしてくれるんだよ~!水野さんが変なこと言うから、ちょっと僕おかしくなってるんだ。責任とってよ!!』

『ははは!!考えすぎだよ。ばかだな~!ユキちゃんはお前にチョー惚れてるんだから。』

『・・・そんなのわかんないじゃん・・。』

『あれれ?どした?俺のエロエロ講座がまた必要?あ、明日家来たら?晩飯食いにこいよ!』

『いいの?やった~~!でも、想像以上に僕落ちてるよ・・。』

『声聞けばわかるよ。じゃな、また明日!』


不思議・・・。

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