どくんどくん2 ~あの空の向こう~
水野さんの声聞いてたら、マイナス思考な僕がどっかへ飛んでいった。
明日、またバカ話して、僕は復活するぞ!!
店内をチラリと覗くとユキの姿が見えた。
カーテン越しだから、ハッキリ見えないけど、あのサラサラストレートの髪とピンと伸びた背筋は、ユキ以外ありえない。
隣に座ってる男との距離が気になる。
肩と肩が当たってるように見える。
こんな気持ち初めてだ。
僕の天使に触るんじゃね~~!!
って店の中に入って行きたい衝動にかられる。
深呼吸して、もう一度中を見た。
あ、お開きっぽいぞ。
ドキドキしながら、出口から少し離れたガードレールにもたれる。
精一杯かっこつけて、自分の中で一番イケてる顔を作る。
「ハル~~!!ごめん。遅くなっちゃった。」
一番に飛び出してきたのはユキだった。
ユキの友達に見せるはずだった僕の一押し『眉間にしわよせながら物思いにふける顔』は、ユキに見られてしまった。
「ごめんね。怒ってる?今怖い顔してたよ・・。」
「ううん。怒ってないよ。ちょっと緊張してただけ。」
店から何人かのユキの友達が出てきた。
「ユッキー!ユッキーの彼氏??紹介してよ!!噂通りだね。」
「初めまして。ユッキーの友達です。ハル君ですか??」
「かっこいいじゃん、ユッキー!彼氏の友達紹介してよ!!」
僕が答える間もなく、僕の前をさまざまな声が交差する。
ユッキーっていう新しいユキのあだ名も、僕にはユキを遠く感じさせる。
美術系だけあって、個性的な人が多い。
ユキが白だとしたら、この周りの友達は真っ赤と黒のチェックとか、迷彩ってイメージ。