どくんどくん2 ~あの空の向こう~


その時、目に入ってきたのは、ふらふらと酔っ払いのような動きをする男。


「まじで~、俺もうフラフラや~。ユキ~、一眠りしてから送ったるわ!」


その男は、ヘラヘラと笑いながら、ユキの肩に腕を回した。


「運転する気ですか?」


僕はできる限り落ちついてそう声をかけ、男の手をユキの肩から離した。


「あ~~!もしかしてハル??ハルなん?噂の彼氏にやっと会えたな~。」


僕に握手を求めてきたその人は、決して悪い人だとは思わないけど、この酔い方はひどすぎると思った。


ユキは、とても悲しい目をしていた。


お酒が好きではないユキにとって、こんな光景を目にするのは辛いだろう。


「僕が送りますので。今日はタクシーで帰った方がいいですよ。これからも、もしお酒飲んだら絶対に車に乗らないようにしてください。もう20才超えてるんですから、それくらいの常識持ってくださいよ・・。」


イヤミにならない程度に、きつく言った。


「お~い。そんな怒るなって。酔いが覚めてから帰るから安心してや。ごめんやで・・。」

そのまま、地面に寝転んだその人は、ユキに酒を勧めてきた。

「ちょっとくらいいいやんか~、飲んでみてや。」



僕はプチっと切れる音がした自分の脳に驚いた。



「てめぇ、ユキのことなんも知らないくせに。これから一切ユキに酒飲ますな!」


僕は、その人のむなぐらをつかんで、そう言ってその場を去った。


ユキの手をつかんで、速いスピードで歩いた。

ごめん。ユキ。


友達に悪い印象を与えたかもしれない。




しばらくして、振り向いたらユキはニコって笑ってくれた。

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