どくんどくん2 ~あの空の向こう~


ユキは、待ちくたびれて眠ってた。

ユキは眠り姫のようだ。

いつも、僕のこの気持ちを知ってか知らずか、眠ってしまうことが多いんだ。

ま、いいけどね。

今日は、ユキの寝顔見ながら、僕も昼寝でもするか。

ユキ、いつもいつも僕に幸せをありがとう。

いつまでもこの寝顔の隣で眠りたい・・・。

この天使のような寝顔の奥には、数えられない程の涙があったんだ。

幼い頃から、ユキは実のお父さんの酒癖の悪さに苦しめられていた。

ユキのお兄さんとお母さんに対するお父さんの暴力を、小さなユキは目の前で見ていた。



ユキは、最初に僕が話しかけた時、泣いていたんだ。



僕の知らないところで、ユキはたくさんの涙を流して生きてきた。

ユキのお父さん自身も、やはり苦しんでいたんだ。

愛情がなかったわけじゃない。


本当は家族を愛していたと気付いた時にはもう手遅れだった。


医者という地位を捨て、アルコール依存症の施設に入ったユキのお父さんは想像以上の苦しみと戦っていたのだろう。

一度出てきて老人ホームでの仕事を始めたが、何ヶ月か後、お酒に手を出して飲酒運転で捕まった。

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