どくんどくん2 ~あの空の向こう~
第9話(距離)
水野さんが倒れた日から、何週間かたった夜。
なぜか胸騒ぎがして、水野さんに電話をかけた。
何度かけても、水野さんのいつもの明るい声を聞くことはできなかった。
僕は、インターネットや図書館で水野さんの病気を調べることが日課になっていた。
知れば知るほど不安が募り、いてもたってもいられない気持ちになる。
ユキとは、なかなか会えない日々が続いていた。
新入生の歓迎のための作品作りで土日も学校へ行っていた。
僕は、そのせいもあって水野さんのことばかり考えていた。
毎晩電話をくれるユキだけど、とても疲れているので5分くらいで眠気がくる。
ユキを応援したいという気持ちと、僕はユキにとってどういう存在なのか、という疑問が入り混じる。
関西弁の酔っ払い野郎との事もやっぱり気になっている僕だけど、あれ以来その話はしていない。
本当は、週末に一緒に水野さんのお見舞いに行きたかった。
一人で行くのはとても不安だったから。
だけど言えないままだった。