どくんどくん2 ~あの空の向こう~
僕は、電話を切りたくなかった。
「あ・・あの人も一緒なの?」
気になって眠れないよりはマシだと思って、ユキに問いかける。
「あ!タケのこと?今日は飲んでないから大丈夫だよ。車でみんなのこと送ってくれるから。」
タケ?
送ってもらう?
ここ1週間で、ユキとの間にまた溝ができてしまっている。
あの夜、ラブホで愛を確かめ合い、また僕らの愛は固く結ばれた・・はずだった。
結局のところ・・・体で得た安心感は長続きしないってことか。
「何時になってもいいから、電話ほしい。」
僕の精一杯のその言葉をユキは拒否したんだ。
「今から、まだみんなでいろいろ話し合いするから、本当に遅くなっちゃうから寝てて。」
本当なら、送ってもらうなと言いたかったんだよ、ユキ。
タケって誰だよって言いたかったんだよ。
どうして、僕について何も聞かないの?
・・・って僕はとても不安になったんだよ。
全部我慢して、ただ電話して欲しいと言った僕の気持ちはどうなるの?
僕のやわらかい心には、たくさんの傷がついた。
会いたいといって欲しかったわけじゃない。
でも、ハルは元気?くらい聞いてくれるのが、ユキだったよね。
変わってしまったのは、ユキなのか、僕なのか、2人の気持ちなのか・・・。
こんな時、心底思う。
水野さんに会いたい・・・って。
あの明るい笑顔と、爆裂トークでこの僕の涙を乾かして・・・。