どくんどくん2 ~あの空の向こう~
第10話(僕の逃げ場)
昨日のバレンタインデーに、僕はユキからのチョコをもらえなかった。
僕は、車の免許を少しでも早く取るために、免許の合宿に来ている。
僕が、合宿で取ることを決めたのには、大事な人・・・2人の言葉。
『しばらく会わないほうがいいのかな』
というユキの言葉。
『しばらくは会えない』
という水野さんの言葉。
ユキと向き合うために、僕はユキの学校へ迎えに行った。
友達と笑いながら帰るユキを見ると、声がかけられなかった。
それから、1週間また会えない日々が続いた。
僕は
僕の異変に気付いて欲しかっただけなんだ。
明らかに僕の元気の無さは、彼女なら気付くであろうものだった。
僕は、水野さんのこともユキに話す時間もなく、気になっている『タケ』とのことも聞けなかった。
僕は、電話でも不安と寂しさから、ユキに冷たい態度を取ることが多くなった。
ユキは、今一番楽しい時期であることは十分理解しているつもり。
自分の力で作品を創り上げる幸せを感じて、輝いている。
それに比べて僕はどうだ。
そんな僕にユキは言った。
『会っても喧嘩しちゃいそう、今の私達。しばらく会わないほうがいいのかな。』
僕は、何も言葉が浮かばずただ黙っていた。
そして、とにかくこのままじっとしていてはおかしくなると思い、車の免許を取る事にした。
ユキの為。
僕の為。
僕とユキが車でデートできるようになれば、もっと会えるようになる。
・・・・・だけど、そんな日がまた来るのかな。
ユキ、もう僕を必要としていないのかも知れない。