どくんどくん2 ~あの空の向こう~
友達もたくさんできた実りある合宿だったと振り返りながら、僕は東京行きのバスに揺られる。
みんなとは連絡先を交換し、必ずまた集まろうと約束した。
僕は、すぐにユキに会いに行きたかったが、ちゃんと免許証がもらえるまで距離を置こうと思った。
久しぶりに実家に戻った僕に、次から次へと質問をする僕の両親。
愛されていると実感が湧く。
「もうわかったって!ユキはまた連れてくるから!」
男ばかりの子供を持つ父と母にとって、ユキは本当の娘のようにかわいい存在らしい。
『また連れてくるから』
その言葉に安心したような父だったが、さすが僕を10ヶ月もお腹の中で育ててくれた母は、何か感づいているようだ。
「合宿で免許取るなんて言うから、フラれたのかと思ったわ。ユキちゃん寂しがったでしょうに。」
僕は、のどに差し掛かった野菜ジュースを吐き出しそうに咳き込んだ。
「あら?図星だったのかしら?まさかね・・。」
僕は、これ以上母といると本当の事を話してしまいそうだったので、久しぶりの僕の部屋へ駆け込んだ。
そのままの僕の部屋。
綺麗に掃除されている僕の部屋。
やっぱり、家族っていいな・・としんみりしてしまう。
一人暮らしさえしていなければ、あんな寂しい夜を過ごすこともなかったのかもしれない。