どくんどくん2 ~あの空の向こう~


「ごめんね。ハル。私自分のことばかりだった。ハルの気持ち考える余裕がなかった。ハルがどんどん遠くに行っちゃうって思った。しばらく離れようって言ったら、怒ってくれると思ったんだ。試すようなことしてごめんなさい。」

自動車免許の合宿で寛太が言ってた通りだったんだ。

ユキは僕の本心を知るために、そう言っただけだったんだ。



「そっか、ごめん。僕はもうユキには僕は必要ないと思った。」



ユキは、僕を見上げて少し笑った。


僕のほっぺを、きゅっとつねった。


「ばか・・。必要ないわけないでしょ。ハルがいないと生きていけないもん。」


「僕も、ユキがいないと生きていけない。僕、バカだからさ・・・寂しさを紛らわす為に車の免許の合宿行ってたんだ。ユキの学校のタケにも、負けたくなくて・・・。」


ユキは、涙でぐしょぐしょになった顔で僕に微笑みかけた。

「ほんと・・ばかだね。タケになんか初めから負けてないのに。私の気持ちそんなに信じられなかったの?・・何度も電話したのに圏外だったのは、合宿に行ってたからだったんだ・・。私、もうハルに受け入れてもらえないのかってすごくこわかったんだよ・・・。」

何度も電話をくれていたなんて全く知るはずもなかった。


電波のバカヤロー!

圏外にならない時もあったというのに。


僕は、力いっぱいユキを抱きしめた。

「ユキ、これからも僕の隣にいてくれる?」


僕の問いかけに、ユキは初めて笑いかけてくれた日のような澄んだ瞳で僕を見つめながら、何度も何度も頷いた。


もうユキを離したりするもんか。


大事な人を失う事ほど辛いことはない。


僕は、こんなにユキを愛しているんだ。


ユキ、今はまだ言えないけどもう少し大人になれたら・・・必ず言うよ。


結婚してくださいってね。


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