どくんどくん2 ~あの空の向こう~
ユキと2人でその夜、夜景を見に行くことにした。
「やっと、ハルの念願の夜景だね!これでタケに勝てた?」
「ばか!!ユキも夜景見たかっただろ?」
最近視力が落ちてきている僕には、そこまでの感動はなかったが、ユキは相当喜んでくれた。
「すご~い!綺麗!!」
ユキの喜んでいる顔を見ることで僕の心を癒される。
夜景を見て、思ったことがある。
小さな窓からの明かりがたくさん集まって夜景になる。
小学校で習った国語の教科書に載っていた『スイミー』を思い出した。
一人の力は小さいけれど、それがたくさん集まることですごい力になるんだ。
その窓の中にも、それぞれの家庭があり、家族がいる。
ここからは見えない、家族の物語が存在する。
この夜景のどこかで、彼女にプロポーズしている人がいるかもしれない。
この夜景のどこかで、別れていくカップルもいる。
今、この世に誕生した命もあるかもしれない。
僕とユキも、ここから見れば小さな小さな2人だけど、きっといつかこの夜景に負けないくらい大きな愛で結ばれたい。
そんなことを考えながら、心地よい風に吹かれていた。
その時、シンから電話がかかってきた。