どくんどくん2 ~あの空の向こう~
「そっか。俺今まであんまり悩むこともなく生きてきたもんな。ユキちゃんの家庭の悩みや、水野さんの病気に比べたら、俺の悩みなんてそう大げさなものじゃないな。俺だけの問題だもんな。俺がどうするか・・・だけ。」


「明日、ライブだからあいつらの歌聴きながら、悩めよ!あせらなくても、ゆっくり考えればいいんじゃないか?」


シンが走り出したから、僕も走った。久しぶりのボールの感触を楽しみながら、シンとボールを蹴りながら。



あの頃に戻れたら・・・



シンが走りながら言った。


あの頃・・・ 


まだ無邪気で本当の恋も愛も知らなかった頃。


ただただ大好きなサッカーを毎日していた。



くだらない事で笑い、ケンカし、すぐ仲直りし、またボールを蹴る。



そんな頃に戻れたら・・・

僕らに違う未来があるのだろうか。



シンは、彼女と付き合ったことを後悔しているのだろうか。

本当に好きではないとわかっていて、関係を続けていたことを後悔しているのだろうか。



後悔しても戻らない。


前を見るしかない。



ゴールに向かって、ボールを蹴らない限り1点は入らない。
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