どくんどくん2 ~あの空の向こう~
第15話(母校へ)
春のように暖かい朝だった。


今日は、待ちに待った『Spring Snow』のライブ。

午後2時から始まるライブを待ちきれなくて、朝から高校へ来ていた僕とユキは懐かしい場所をゆっくりと歩く。


「久しぶりだね~!!この坂道も桜の木も変わってないね。」


ユキは、卒業式のあの日のように空を見上げる。

一年前、ここで誓ったことを僕はハッキリ覚えている。

いつか、ここでユキにプロポーズするからね。


あれから、もう一年。


気の早い桜の花びらと、春なのになぜか降り出した雪に僕は誓ったんだ。



「今日は雪降らないかな?」


ユキが少し寂しそうに、つぶやいた。


「覚えてたの?あの日の雪。」


「当たり前だよ。春の雪だもんね。今日もあの歌歌ってくれるかな?」


「絶対歌うだろうな。僕、泣きそう・・・。」
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