どくんどくん2 ~あの空の向こう~
それから、僕とユキの為に作ってくれた『Spring Snow』を熱唱した。
当然いつものように、僕もユキも泣いてしまった。
そして、ユキのお父さんの退院祝いの時に歌った歌『絆』を歌いながら、ゆうじも涙ぐんでいた。
後ろの席には、仕事を切り上げて駆けつけているユキのお父さんとお母さんも来ていることを僕はユキから聞いていた。
きっと、涙流してこの曲を聴いていることだろう。
「今日は、みんなに話さなくてはならないことがあります。ずっと言おうか迷っていましたが、僕はみんなが大好きだから話します。僕は、昔いじめられていました。・・・それでも、いつも笑顔でいられたのは、ここにいる僕の親友ハル君のおかげです。僕は、ハル君と違う中学へ行くことになり、独りぼっちになってしまいました。
僕は、弱虫だったんだ。今のように、毎日が輝いていなかったんです。僕は、生きていることがいやになりました。そして、よく覚えていないけれど・・・死のうと思って、マンションから飛び降りました。」
会場はザワザワし始めた。
「僕は大切な命を自分で失くしてしまうところでした。僕は、奇跡的に助かりました。でも、本当はそこで死んでいるはずだったんだ。僕はしてはいけないことをしてしまったんです。後悔しても時間は戻りません。僕は、自分を生んでくれた両親や僕を助けてくれていた友達を裏切ったんです。」
ゆうじは、涙をこらえきれずに泣きながら話した。