加納欄の接触 シリーズ17
「大山先輩?!仕事!が、残ってるなら、私、まだ手伝いますから!」

…………。

…………。

少しだけ沈黙が流れた。

「お前がいても、関係ねぇよ。約束したんだろ。行って来いよ」

喜怒哀楽のナイ発音だった。


引き止めてもくれないんですね(__)


気になってるくせに。


”行って来い”って、言うんですね(__)


「……行って、いいんですか?」

「なに言ってんだよ。飯食いに行くだけだろ?」

「そうですよ。だから、行っていいのか聞いてるんです」

「聞くも何も、お前が行くって、言ったんだろうが、オレは関係ないだろ」


関係ない(-.-)?


関係ないんですか?


「……そぉですか。わかりました」

「欄?」

「行ってきます」

あたしは、誰にぶつけていいのかわからない怒りを覚えた。


大山先輩のバカ(>_<)


ホントにバカ!


いっぱいバカ!!


フンッ(-.-)


大山先輩は、あたしを降ろすと。

「飲みすぎて迷惑かけるなよ」

と言うと、また車を発進させ、どこぞへと消えて行った。

あたしの、寂しそうな表情すら見ないで。

「加納さん」

背後から声を掛けられた。

目の前に笑顔の園田さんを見て、少し罪悪感を覚えた。

「お腹空きましたねぇ。何かリクエストありますか?」

園田さんは、あたしの気持ちに気付かず無邪気に話した。

「特には…お任せします」

愛想笑いしてみた。

「では、美味しい和食屋さんを見つけたので、そこにしましょう。署からも近いですよ」

そういうと、園田さんは、車の助手席を開け、あたしをエスコートした。

あたしは、されるままに助手席に座った。

車に乗っていても、お店についても、あたしの心は、微妙に上の空だった。

園田さんに、何度か「加納さん?どうかしましたか?」と、質問され、その度にあたしは「なんでもありません」と、答えるしかなかった。

せっかくの美味しい料理も、食欲を感じられないくらいブルーになりそうな時に1組のカップルがお店に入って来た。


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