加納欄の接触 シリーズ17
声を掛けて来たのは、あたしの側を通り過ぎようとした女性だった。

「あら?欄ちゃん?園田さんも?」

あたしは、思わず立ち上がって、相手の名前を呼んだ。

「し、祥子先輩(゚o゚)!?」


と、大山先輩!!!


ど、どうして……!?


ここに……?


「偶然ですねぇ」

園田さんは、にこやかに答えていた。

「お、おぉ。偶然だなぁ」

大山先輩は、曖昧に答えていた。

祥子先輩は、あたしの顔を見て、大山先輩の顔を見ると。

「ホ~ント偶然ねぇ。びっくりしたわぁ。大山さんが、珍しく夕飯おごるなぁんていぅから来たらいるんだもぉん。ねぇ?大山さぁん?」

「あ、う、まぁ、な、ほら、邪魔しちゃ悪ぃだろ。あっち行くぞ」

「祥子先輩、大山先輩に、お夕飯おごってもらうんですか?誘われたんですか?!」

「そぉよ、じゃあねぇ。たっぷりおごってもらうわぁ」

そう言って2人は、行ってしまった。

あたしは、力なくストンと椅子に座った。


そんなぁ(>_<)


あたし、今までお夕飯なんて誘ってもらったことないのにぃ(:_;)


ひどいよぉ(>_<)


「驚きましたねぇ。あの2人、付き合ってるんですかねぇ。お似合いですねぇ」


ピクッ(−_−#)


付き合ってるぅ?


お似合いぃ??


「そ、そぉですかぁ?似合ってますかぁ?そぉですかねぇ?」

あたしは、里芋をグサッとさすと、口の中に頬張った。

さっきまでの食欲の無かったのが嘘のように、あたしは、園田さんにすすめられた料理を片っ端から平らげ、更に注文し、日本酒を手酌酒し、記憶を喪うまで呑みまくった。

「理想の女性ですね」

と、その様子を、園田さんは、ただただニコニコしながら見つめ、独り言のようにつぶやいていた。



− おわり−


< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop