S兄彼氏。
カンペ
「・・・ねぇ? どーゆうこと?」
「・・・っ・・・ぷっ・・・クスクス・・・」
唯が必死で笑いをこらえている。
「何でこーなるわけぇ?」
「だ・・・って、愛理が風邪なんてひいて・・・、学校休むから悪いんじゃーん! キャハハハ」
・・・う。
それを言われると、否めないんだけど・・・。
―6月。
月の初めに席替えがあることなんてすっかり忘れて、軽い風邪でのんきに冷えピタ貼って、家でゴロゴロしてたあたし・・・。
そしたら!!
一番前のド真ん中。
そしてアイツの隣。
最悪じゃん!!!
「もおやだぁ!」
「うわ! 愛理ひでぇー」
「んなっ?!!」
また・・・
いつの間にか、本人登場。
唯は相変わらずニヤついてるし・・・。
「俺の隣なんて最高だろお?」
「全っ然!」
何でこう、さり気なく来るのかなぁ。
それがまた嫌なんですけどぉ!!!
「なんかさぁー、」
あたしたちの会話をニヤニヤしながら聞いていた唯が、突然口を開く。
「夫婦漫才やってるみたい♪」
「何言ってんの?! 唯ぃ!!」
そう叫んで慌てるあたしの首に、不意に腕がまわされた。
「だろお? 俺らさあ、似合いすぎて困るんだよなぁ」
「はなしてーっっっ!」
必死の抵抗も虚しく。
あたしなんかの力じゃ、到底敵わない・・・。
「似合ってなんかいるわけないでしょ!
タイプ違うし!!」
「や、それがねぇ・・・。
意外と合うよ、あんたら♪」
唯が真剣な目で告げる。
「いい感じだもん★」
「ちょっと! 唯、止めてよぉ!!」
「そのままでいいじゃーん♪」
「だよなあーっ」
唯も金指くんもノリノリ。
おまけにクラスメイトの視線が痛い・・・。
誰か、あたしに平凡な日々を返して下さい!!!