S兄彼氏。
「―であるからによって、このXを代入すると・・・」

「ふあーぁ・・・」

3時間目の数学。
意味わかんなくて、ついウトウト・・・。
隣の誰かさんは、ペン回しして遊んでるし。

はああぁー・・・。

いっそのこと寝ちゃおう・・・なんて思って、机に顔を伏せた・・・その時。
「よし・・・じゃあ、新海。これを文字式にしてみろ」
「・・・へっ?」

・・・あたし、当てられちゃった?!!
しかも、全くと言っていいほど聞いてなかったよ・・・。
いや、聞いてたとしても分かんないんですけどね。

とりあえず、時間稼ぎにゆっくりと席を立つ。

「え・・・っとぉ・・・」
必死で黒板からヒントを探す。
けど、どれが何なのか分かんない!!!
あー! どうしよう!!
愛理の人生における最大のピンチだあぁ!!

焦りまくって、背中に冷や汗が伝った時・・・。
あたしの机に、スッと1枚の紙が現れた。

“3x+y=157 言ってみろ! ケン”

えっ・・・?

不思議に思って隣を見ると、金指くんが『行け!』とでも言いたそうな合図を出している。
でも、金指くんには悪いんだけど、これ、信用できません・・・。

えーい、当たって砕けろぉ!!

「さ・・・3x・・・ぷらす・・・y=157・・・です」
少し震えながら言った答え。
突き刺さる周囲の視線。

「よし。座れ。」

・・・えっ?
・・・ウソぉ?!

まさかの大正解っ!!?
よかったぁー!

紙見たの、バレてないよね??

ホッとしながら席に座ると、金指くんが小声で話しかけてきた。

「俺様のおかげだな♪」
「う・・・」

確かに、そうだけど。
てゆうか、何気に頭いいんだ・・・。





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