S兄彼氏。
『まもなく5番線に列車が参ります。この列車は―・・・』
「あっ、もう来た・・・」
金指くんに返事のメールをしようとした手を一瞬とめた。
電車一緒だし、会って喋れるかなー・・・。
でも、無理かも。 人多いし・・・。
それに、会ったら会ったで、素直に喋れるか・・・今のあたしに、保障はない。
<あたしは携帯とりに行っただけだし、お礼なら唯に言って>
全ての指を駆使して、電車が到着する前に打ち終える。
・・・うわー、可愛くない言い方!
ま、いっか。
今までツンツンしてたのが、いきなり優しくなるのも変だし・・・。
ちょっとずつ、素直になれば十分だよね。
「送信・・・ ・・・っあ!」
ハっとした頃にはとっくに電車は止まってて、ドアも開いてた。
ってわけで、あたしは若干乗り遅れる・・・。
「ちょ・・・っと、すいませーん・・・」
あたしの声は、どこまで届いてるんだろう?
半端じゃない数の人に押しつぶされて、時間をかけたヘアも台無し。
うあー・・・、苦しい・・・。
そんな時、どこか感じた違和感。
・・・なんか、後ろの方から触られてない?
太もものあたりとか・・・。
あたし、チカンにあってます?!!
いやだあー!!!
後ろにいるであろう人を確認しようにも、人混みの中で身動きもとれず。
誰か気づいてっ!
そして・・・助けてーっ!!!