S兄彼氏。
無念にもあたしの思いは届かないようで、触れる手はお尻の方へ…。

「…ゃだ…」
抵抗するかのように、自然と出てきた小さな声。
でも、誰にも聞こえてないみたいで…。

どおしよ…。
やだよお……。

怖くて、気持ち悪くて、あたしはパニック。
既に涙が溜まってきてるのは当たり前のこと…。

誰かーっ!!!

「てめえ何触ってんだよ!」

…えっ??!

突然聞こえてきた、聞き覚えのある声。

「愛理! 大丈夫か?!」

あたしの名を呼ぶ…大好きな声。

「…金指くん!」

彼は人混みを精一杯かき分けて、あたしの元へとやってきた。
それと同時に触れていた手が離れる。

「おい変態! 俺の女に手ぇ出してんじゃねーよ!!」

「…へっ?」

耳を疑った。
でも…確かに今、『俺の女』って…言ったよね?



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