S兄彼氏。

「おい、愛理!」

改札を通って、少し足早になったあたしを、後ろから誰かが呼んだ。
・・・まあ、“誰か”なんて言わなくても・・・

「・・・金指くん」

・・・急いで追いかけてきてくれたの?

呼吸、乱れてるよ?

「お前、危なっかしいから・・・俺が一緒に行ってやるよ」

・・・言葉は冷たい。けど・・・
そーゆう優しさが、好き。

「・・・もう平気だしっ!」

今までは、こんな奴と一緒なんて・・・思ってた。
もっと冷たく言い返してたはず。

でも・・・
もう、そんな風にはいかないんだ。
そんなの、無理なんだ。

「ほら、急ぐぞ!」

グイっ・・・

「・・・へっ?!」


突然繋がれた手。
金指くんのペースで走るあたし・・・。

ドキン・・・。

やばいよ、あたし。

幸せだよ。

今にも、好きって気持ちが溢れそうで・・・
思わず、泣けちゃいそうだよ?
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