S兄彼氏。
「まっさかそんな事があったとはねぇー♪」
「あたしだって、まさかだよ・・・」

―放課後。

再び本人登場・・・なんて事のないように、普段誰も使わないような女子トイレで、極秘のガールズトーク。
「ま、愛理はもう狙われちゃってるんだから、気をつけなよ?」
「気をつけな・・・って、どんな・・・」
「あーゆう男は手が早いから♪」

もう、心配してるんだかどうなんだか。
楽しんでるようにしか見えないよ? 
唯さん・・・?

結局この後も、あたしたちの会話は、この話題で持ちきりだった・・・



「ふああああぁ」
制服のままベッドにダイブ。
ひんやりしたマットに沈んでいく感じ・・・。
何もかも忘れてしまえるくらい、最高に気持ちいいー・・・

「あぁー・・・ お腹空いたあ・・・」
しばらくゴロゴロして、携帯を開くと、もう夜の8時過ぎ。
パタンと携帯を閉じて、枕に顔を埋める。
お母さん、今日は残業かな・・・。
冷凍パスタでも食べよっかな。
・・・なんて考えて、ゆっくり体を起こしたとき、携帯が鳴った。
ディスプレイには、“唯”の文字が光る。

「・・・まさかぁ・・・」
また、あの話?
ちょっと憂鬱になりながら、受信BOXを開く。

「・・・? 何これ? 誰の?」
唯からのメールに貼り付けられた、見覚えのないメアド。

≪とりまメール送ってみてよ!≫

文章はこれだけ。
送ってみてよ! ・・・って、相手分かんないんですけど!

意味が理解できなくて、確認のために唯に電話をかける。

無機質な発信音が鳴り響く・・・
唯が出る気配はない。

『こちら留守番電話サービスセンターです。ご用件のある方は―・・・』

うわー、やられた。
素直にメールしろ、ってこと?

分かりましたよ・・・。
すればいいんでしょ! メールすれば!!

半分(?)投げやりになりながら、届いたアドレスを“誰か”の名で登録して、新規メール作成をする。









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