S兄彼氏。

・・・んー?
いつ見たんだろぉ?

あたしは一時停止したかのように、その顔を見つめる。


うーん・・・?

誰だっけ?

絶対見たことあったと思うんだけどなぁ・・・。

「あのさぁ」
考え込むあたしに、その男の子が突然話しかける。

「?」
「俺の顔に、何か?」
ちょっとキレた感じで、彼が言った。
「あっ! ご、ごめんなさぁい・・・」

つい、じっと見つめてしまった・・・。
そりゃ、誰だってキレたくなるよね。

あちゃー・・・。

慌てて背中を向け、再び考える。

誰だぁー?

別に分かんなくても困らないんだけど、一度考え出すと答えが出るまでモヤモヤする。

声も聞いたことだし、そろそろ思い出せてもいいはずなんだけど・・・

「・・・あっ!」
思わず声がでる。
周りの人の視線は・・・気にしなあい!

思い出した!

“東京から来ました、金指健です。よろしくお願いします”

そうだ!
あの転入生だぁー・・・!

そっか、同じ電車だったんですね。









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