Turning Star
~麗side~













私は、冷たい水の中にいた。
ただ、冷たいという感覚だけがあって、他には何もなかった。
その中に、無造作に放り出された私。
でも、……まるで、時間が止まっているみたい。
私の身体は、動くのを止め、ただそこに佇むだけの存在になっている。






































暗くて、冷たくて、ここは、酷く異質な場所。
私、……こんな場所にはいたくないよ……。
寂しくて、……誰かに迎えに来てほしいと願ってしまう。
藍が教えてくれた事だよ、……孤独は、とても辛くて、胸が引き裂かれそうだ。











【それでも、お前の周りには、今、誰もいないよ?
 ……あるのは、ただ絶望のみ。】



不意に、何もない空間に声が響いた。
聞き覚えのない声に、私は、眉を顰めた。
だけど、それ以上に、言われた言葉が信じられなくて。
私は、度重なる疲労のせいで、声になっているかも怪しかったけれど、
必死に反論した。









「違う。
 皆が、きっと助けにきてくれるわ。
 だから、私は待ち続けるのよ。」




【はぁ、……君は、可哀想な人だね。
 儚い一縷の望みを抱いて、……そんな姿は、僕からすれば、酷く滑稽だよ。
 諦めれば、すぐに楽になれるのに……。
 最後に裏切られて傷つくのは、他でもない君だよ?】


心地良い低音の声で、その人は、甘く語りかけてくる。
その声がよく響いて、まるで、耳元で囁かれているような錯覚に陥る。
だけど、その言葉には、どこか呆れの色も混じっているように感じた。
聞きわけのない子供を宥めるような、そんな響きを持っていた。
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