Turning Star
「そんな…………。」
血が作り出す宿命なんて、……私が思っている以上に、この問題は、
解決が難しそうだ。
だって、血に抗えば、身体が死んでしまう。
だからといって、血に逆らわなければ、心が死んでしまう。
私は、……彼の話を聞く事しか出来ないのかな……。
そうだとしたら、私は、……何て無力な存在なのだろう。
「でも、アリス兄さんは違った。
最後まで、心を殺される事なく、辛い日々を生き抜いた。
あの人は、……闇に堕ちながらも、光を求め続けた。
だから、物心ついた時には、病に冒されて、……でも、あの人は、
こんな血の流れを断ち切りたいが故に、僕にその役目を託した。
もう、自分の寿命が長くない事を悟っていたのかもしれない。
だけど、僕は、……その期待を裏切ってしまった。」
そこまで言って、彼は、ゆっくりと瞼を閉じた。
そこからは、まるで、昔話を聞かせるかのような声色だった。
「…………ある日、僕は、悪魔の囁きに耳を傾けてしまった。
その声は、兄さんのように優しく、そして甘く、僕に語りかけてきた。
闇に堕ちろ、と、……そうすれば、楽になれる、と……。
そして、僕は、躊躇いながらも、差し出された手を握ってしまった。
それ以来、僕の身体は闇に喰われ、心も少しずつ荒んでいったよ。
それでも、僕は、理性で、感情が喰われるのだけは何とか防いでいる。
……だけど、それも時間の問題だ。
麗、君は、…………こんな僕を救ってくれるかい?」
切なげな瞳で懇願された。
本当に、心底解放を求めているようにしか見えなかった。
私は、……彼の手を取ろうと思った。
闇に堕ちた堕天使を救い出すために、……少しでも、力になりたいと思った。
血が作り出す宿命なんて、……私が思っている以上に、この問題は、
解決が難しそうだ。
だって、血に抗えば、身体が死んでしまう。
だからといって、血に逆らわなければ、心が死んでしまう。
私は、……彼の話を聞く事しか出来ないのかな……。
そうだとしたら、私は、……何て無力な存在なのだろう。
「でも、アリス兄さんは違った。
最後まで、心を殺される事なく、辛い日々を生き抜いた。
あの人は、……闇に堕ちながらも、光を求め続けた。
だから、物心ついた時には、病に冒されて、……でも、あの人は、
こんな血の流れを断ち切りたいが故に、僕にその役目を託した。
もう、自分の寿命が長くない事を悟っていたのかもしれない。
だけど、僕は、……その期待を裏切ってしまった。」
そこまで言って、彼は、ゆっくりと瞼を閉じた。
そこからは、まるで、昔話を聞かせるかのような声色だった。
「…………ある日、僕は、悪魔の囁きに耳を傾けてしまった。
その声は、兄さんのように優しく、そして甘く、僕に語りかけてきた。
闇に堕ちろ、と、……そうすれば、楽になれる、と……。
そして、僕は、躊躇いながらも、差し出された手を握ってしまった。
それ以来、僕の身体は闇に喰われ、心も少しずつ荒んでいったよ。
それでも、僕は、理性で、感情が喰われるのだけは何とか防いでいる。
……だけど、それも時間の問題だ。
麗、君は、…………こんな僕を救ってくれるかい?」
切なげな瞳で懇願された。
本当に、心底解放を求めているようにしか見えなかった。
私は、……彼の手を取ろうと思った。
闇に堕ちた堕天使を救い出すために、……少しでも、力になりたいと思った。