Turning Star
「運命っていうのは、……皮肉なものね。
 …………そういう事なら、そんな貴方の、運命という物語に遭遇した一人間として、
 私も力にならせて。
 ……貴方って、そんなに悪い人じゃないみたいだから。
 あくまでも、私の直感だけどね。」


そう言って、私は苦笑した。
彼は、一瞬呆気に取られたような表情をしたけど、次の瞬間、フッと柔らかく微笑んだ。
何の邪気も感じられない、……純粋な微笑みだった。
何で、……こんな人が、こんな目に遭わなきゃいけないのだろう。
彼の微笑みに、ホッとすると同時に、酷く哀しい気持ちになった。





















「ふふ、上手い事言うね。
 …………ありがとう。
 それじゃあ、時間も時間だし、食事にしようか。」


「よくよく考えたら、……今、何時なの?」



よく見ると、この部屋には、時計がなかった。
まるで、時が経つのを知らせないかのように。


















「今は、……夜の9時くらい、だよ。
 だけど、……僕達のいるここは、外の世界よりも、時間がゆっくり流れているから、
 そうだね、……君の友達のいる所だと、1日後の、丁度おやつの時間くらいかな。」





「あら、そうなの。
 …………って、……はい?」





告げられた衝撃的事実に、私は、思わず聞き返した。
彼は、驚くのも無理はないよね、といった風に、私の様子を、どこか楽しげに
眺めていた。
……次の瞬間、屋敷内に、私の声にならない絶叫が木霊した。


















「~~~~~~~~~~~~~っ!」


「だって、今初めて言った事だし。」



そんな私をからかうように、彼はクスクスと笑いながら言った。
やっぱり、私、……今更ながら、とんでもない事に関わってしまったのかもしれない。
心の中で、深い溜息をついた。
< 125 / 169 >

この作品をシェア

pagetop