Turning Star
「愚者が、……いや、波宮さんが誘拐されてしまった。
 そして、学園の生徒にも、私は、多大な迷惑と心配をかけてしまった。
 まずは、これを心からお詫びしたい。」


そう言って、理事長は、深々と頭を下げた。
寧ろ、今にも土下座しそうな勢いだった。





















「いえ、理事長、全ての責任は俺にあります。
 俺が、奴等の能力を甘く見ていたからです。
 理事長は、何も悪くありません。
 俺が、……俺が、彼女を守ってやれなかったばかりに……。」


隼人が、心底申し訳なさそうに言った。
私には、彼が、罪悪感以上に、何か別の感情を抱えているような気がして
ならなかった。


























「隼人君、……君が謝る必要はない。
 私も、彼等の能力を軽んじていた所があるからな。
 どうやら、……長は、相当手強いようだ。
 しかしながら、ここで諦めてはならない。
 彼等が今どこにいるか、だが、……その場所は、およそ特定できている。」




「「「本当ですか!?」」」





最後の一言に、私達は、同時に反応した。
だけど、私には、およそ、という表現が妙に引っかかった。
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