Turning Star
「先程、桜田さんが気付いた通りだ。
 ラグナロクのどこかにいる事は分かっているが、
 ……正確な位置までは、私にも分からない。
 だが、少しでも手助けがあった方が良いと思って、昨日とある生徒と接触した。
 …………宮野君、入りなさい。」


そう言うと同時、理事長室の扉が、躊躇いがちに開かれた。
そこにいたのは、……どこかで見たような気がするのだけど、……誰だっけ?
























「彼は、物質転移の能力を持っていて、その質は、非常に高い。
 だから、現地に行けば、波宮さんが囚われている所まで送ってくれる。
 あの地では、能力が幾分抑えられるようだが、別段問題はないだろう。
 まぁ、とりあえず、腰を落ち着けて、一言、何かあれば言ってくれ。」



そう言うと、彼は、畏れ多いという表情を見せながらも、
恵が出してきた椅子に腰を落ち着け、ゆっくりと口を開いた。



























「俺は、宮野翼。
 昨日、いきなり理事長から話を聞かされて、まだよく分からない事が多いけど、
 ……とりあえず、よろしく。」


そう言って、爽やかに微笑んだ彼に、場の雰囲気が僅かに緩んだ気がした。
……あぁ、そうだ、この顔、見覚えがあると思ったら、風紀委員長の人だ。
前に、会議で数回会ったのを覚えていた。
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