Turning Star
カップを配り終えた恵が、真っ直ぐに彼を見据えて、
質問の意図が掴めないとばかりに、コテンと小首を傾げた。
その、何とも言えない愛らしい仕草とは裏腹に、その瞳は、
真意を探ろうとしている色が見えて、微かな鋭さを滲ませていた。





















「両方、……だな。」


どう答えるか悩んだようで、暫く考えていたようだったけど、
出した答えはそれだった。

























「まぁ、僕が理事長の息子だって事は、一部の人しか知らないからね。
 そもそも、この事は極秘事項だから、知らないのも無理はないよ。
 で、もう1つは、……僕にも分からないな。
 掴み所がない、とはよく言われるけどね。
 あぁ、そういえば、……自分では、麗に似ている気がするけど、
 でも、……実際はどうなのか分からないよ。」



「どうして、……麗に似ていると思うの?」




気になったから、思わず口に出た言葉。
恵は、その問いに、フッと寂しげに微笑んだ。
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