Turning Star
「僕と同じで、……掴み所がないから、かな。
 彼女は、強がっているようで、実は弱くて脆くて。
 分かりやすそうで、その裏に何かを隠していて、……謎が多い人だと思うから。
 だからこそ、……そんな彼女の事を知りたい、もっと言えば、傍にいたいと
 願うのかもしれないね。
 似ているから、傍にいてくれると安心する。
 恋愛感情じゃないけど、……何だろうな、言葉には出来ない感情、だね。
 親近感なんて言葉じゃ片付けられないくらい、それくらい、彼女の事は気になる。
 だけど、僕にもよく分からないよ、……でも、彼女の言葉は、心に響く。
 それだけは、僕にも言える事かな。
 ……ゴメンね、こんなの支離滅裂だって分かっているけれど、
 今の僕には、こんな答えしか思いつかないよ……。」
 



いつにも増して饒舌な彼に、私は内心驚いていた。
この人は、……麗の事をよく分かっている気がした。
漠然とだけど、彼に見つめられると、心の奥底まで見透かされてしまいそうだから。
でも、こんな風に深く相手を見つめられるのは、正直言って少しだけ羨ましい。




































「……そっか。
 ゴメンね、変な事聞いちゃって。」



「ううん、大丈夫だよ。」



「……ていうか、この紅茶美味いな。」






不意に、翼が呟いた。
たぶん、気を遣ってくれたのだろう。
その気遣いが、ほんのりとした温かさを感じさせた。
彼も、……優しい人だ。
その一言で、ガラリと空気が変わった。
それからは、皆で和やかなひとときを過ごした。
今回の事以外でも、たくさんの事を話した。
おかげで、彼とも大分仲良くなれた気がする。
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