Turning Star
「炎を抱く者よ、大地に還れ。
 死する者に、私は祈りの歌を捧げます。
 …………貫け、祈水流奥儀、触炎牙。」


次の瞬間、エリーナの両の掌から、淡い光と共に、小さな氷の牙が生み出され、
ティナの方へ放たれた。































ティナは、……まだ粒子の状態の炎を、周囲に拡散させ、歌を紡ぎ出していた。
エリーナの放った技が、本当に奥義なのなら、火は水に弱い。
だから、相性は良い。
だが、……あの小さな牙に、そこまでの威力が込められているとは思えなかった。
が、次の瞬間、俺は、自分の目を疑った。






































「……っ、あっ、…………やあああああ!」


氷の牙は、ティナの足元、丁度足を中心に対称になるように、左右に転がり落ちた。
大丈夫なのかと思ったが、次の瞬間、天にも聳えるほどの高さの、水の塔となり、
そして、両方向から、あり得ない量の流水が、濁流のようになり、降り注いだ。
まるで、彼女を飲み込もうとするかのように。
暫く、断末魔が木霊していたが、最後には、彼女の姿は、跡形もなく消えてしまった。
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