Turning Star
「美しき氷の結晶よ、……貴方は、繊細に、大胆に、その形を創る。
 澄んだ光に照らし出され、貴方は、奥底に秘めたものを映し出す。
 そして、冬の夜の冷気は、貴方をより一層艶やかにしていくの。
 その命は短く、しかし、その美しさは、他の何者にも劣らない。
 そんな貴方を、私は愛しましょう。
 彼の者に、一時の生を、儚き生を、与えたまえ。
 ……氷姫アイザ、我の元に来たれ。」



次の瞬間、その場は、凄まじい冷気に包まれた。
術者は、従者の加護を受けているために平気だが、それ以外の者は、
無事では済まないだろう。
まさしく、そこは極寒の地であった。


























「僕を、……殺すのか?」


その声は、畏れに満ちていた。








「いいえ、殺しはしないわ。
 それに、……私の中の何者かが告げているの。
 貴方は、幸福を、温もりを、そして、光を手に入れるべきだ、って。
 だけど、その前に、…………贖罪の機会を与えてあげるわ。
 今の私は、誰にも止められやしない。
 私の能力を封じようとした事の愚かさを、そして、それによって、私が受けた苦痛を、
 ……今、味わいなさい。」



私は、自分の声とは思えないほど、冷酷に告げた。
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