Turning Star
~隼人side~





「さぁ、心を落ち着けて、この中から1枚引いてください。
 勿論、シャッフルしてくださって構いません。」



「は、はい……。」




俺がそう言うと、彼女は、たじろいだ様子で、
だが、必死で心を落ち着けようとした。
そして、迷いに迷った末、恐る恐る、カードを1枚引いた。
この程度の信念じゃ、能力は開花させられないだろう。
俺は、内心嘲笑しつつも、占いを続けた。





















「ふむ、貴方が選んだカードは、カップのペイジ、ですか。
 そうですね、このカードから連想される貴方の能力は、
 ……心に関する事、もしくは、物を作る事、ですね。
 そして、貴方は優しい方ですが、それ故に、常に態度が受け身に
 なってしまいがちではないですか?」




「…………っ!
 ……その通りです。」



「そうですか。
 ならば、自身の控えめな態度を翻し、積極的に能力を開花させようとすれば、
 おのずと答えは見えてくるはずです。
 そして、その時には、責任を持って行動してください。
 あとは、……ひらめきを大切にしてください。
 僕は、貴方の幸福を祈っていますよ。
 それでは、……また会いましょう。」








「はっ、はい!
 あ、……ありがとうございました。」






頬を朱に染めて言葉を紡ぐ彼女に、俺は、偽りの笑顔を向ける。
何故なら、この作業は、たった1人の愚者を見つけるためのもので、
他には興味がないのだから。
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