Turning Star
「……そうですね。
 原因は分かりませんが、それならば、
 このカードを貴方に託しましょう。」


そう言って、俺は、星のカードを渡した。
俺は、自分用のカードとは別に、
気に入った人間にお守りとして渡す、言うなれば、
贈答用のカードを持っているから、それを取り出した。
彼女は、そのカードを受け取り、何を思ったか、
じっと見つめていた。





















「そのカードを持っていれば、貴方の身体の異常は回復し、
 傷は癒えていく、……手助けをしてくれますよ。
 ……さて、ここからが本番、ですね?
 貴方の能力に関して、ですが……。
 占いの前に、貴方の好きな事を教えてくれるかな?」



相手の好きな事を話させる事で、気を楽にさせてやれる。
だから、俺は、相手の緊張を解す意味で、
毎回この質問をする。
すると、彼女は、真っ直ぐ俺の瞳を見据え、
淡々と、そして、はっきりと言った。





























「私の好きな事は、読書と、……物思いに耽る事。」



若干、俺の表情が引き攣ったかもしれない。
ほんの一瞬だとは思うけど。
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