Turning Star
「愚者、…………か。」



俺が、悩ましげな表情をしていると、
彼女が、不意に話し出した。














「あの、……このカード、それの持つ意味は分かりませんが、
 何かが伝わってくるの。
 少し、…………このカードを見せてもらっても良いかしら?」



彼女は、一体、何をするつもりだ?
疑問に思ったが、俺は、それを了承した。
彼女なら、俺の大切なカードを悪いようにはしない気がしたから。
































「………………。」


「…………おい、大丈夫か……?」




カードを見つめたまま呆然と立ち尽くす彼女に、
俺は、声をかけた。
その瞳は虚ろで、息をしているのかすらも定かではない。
だが、何とも言えない焦燥感に駆られる。













「……吹き抜ける風は、どこまでも穏やかで、
 その優しさは、永遠に変わらない。
 空間に命を与え、大地を吹き抜ける風は、
 どこまでも慈愛に満ちている。
 風の精霊ティア、いつの日も巡り巡る者よ、
 我の元にその姿を現せ。」



「………………っ!」




それは、カードの中から出てきた。
彼女の奏でるメロディーを、言の葉を、待っていたかのように。
だが、カードの中の人物と一致しない。
それなら、今、彼女の横に寄り添うように立っているそれは、一体何だ?
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