Turning Star
「しかし、今この学園に迫っている悪に対処するには、
 彼女の能力が必要なのです。
 命を犠牲にする分、彼女の召喚士としての能力は、
 とても高いです。
 杖や棒、そして、お決まりの呪文は必要ないのです。
 大切なのは、選ぶ触媒、そして、私達召喚される者側の能力を
 引き出す、言の葉の力にあるのですよ。
 彼女には、言の葉の資質が備わっているのです。」





「それじゃあ、やっぱり……。」




悪が迫っている。
あの占いは、正しかった。
俺の気のせいなんかじゃなかった。
そうなると、真っ先に狙われるのは、おそらく彼女だ。
無限の可能性を秘めた、無知の少女。
莫大な召喚能力を持ち、しかしながら、自覚していない。




















「えぇ、貴方の占った運命は、正しいです。
 ですが、それを打開する方法は、彼女が自身の運命と向き合い、
 自身の能力を自覚し、それを高めていく事以外にありません。
 そして、それを助けてあげられるのは、
 この事実を知る者、貴方と、……そこにいる彼だけです。
 私達は、また、運命の交錯する所で出会うでしょう。
 今まで彼女に働きかけていたのは、私です。
 体調を崩させてしまった事は、とても申し訳なく思っています。
 ですが、それは、少しでも自覚してほしかったから。
 ……とはいえ、もう、貴方が知ってくれたから、
 あとは、貴方と彼女次第です。
 それでは、時間も迫っていますので、…………また会いましょう。」




精霊ティアは、光の粒子となって消えて行った。
俺は、ただその姿を呆然と眺めていた。
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