Turning Star
今でも、この子の事は、全くと言って良いほど分からない。
掴み所がない、波宮の名の如く、波のような人。
この子の能力を聞かされた時も、信じられなかった。
確かに、変わった能力だろうなぁ、くらいには思っていたけれど。
その能力が、まさか召喚、しかも命を削るものだなんて。























「この先、……一体どうなるのかしら……。
 ねぇ、麗、答えて……。
 貴方は、どこへ行きたいの?
 貴方の望むものは、何?
 そこがどこであろうとも、それが何であろうとも、
 どうか、私を、……独りにしないで……。」

















彼女のあどけない寝顔を見つめていると、
とてもそんな風には思えない。
だけど、置いていかないで。
切実に、そう願ってしまう。
ポタ、ポタと、温かい涙が零れていく。








「もしも、この世界を創った人に届くのなら。」


「どうか、……彼女の命を無下にしないで。
 彼女の存在に、意味を持たせてあげて。
 そうすれば、彼女は幸福になれるのだから……。」
 



自信は持てないけれど、彼女はそれを望んでいるのだと思う。
そして、それが叶えられないから、夢や幻想にこだわるのだと思う。
別に、それが悪い事だとは言わないけれど。
もう少し、今生きている世界に、希望を持ってほしい。
こんなの自己満足だって分かっていても、願う事を止められない。
わがままだとは思うけど、貴方の幸せを祈らせて。
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