Turning Star
「愚者、……ね。
 僕も、あんまり分からないけどね。
 ……もし、その先に待ち受ける運命とやらが、
 あまり良い代物じゃないとしたら、その愚者は、まだ何も知らない。
 具体的に、何を知らないのかまでは、流石に分からないけどね。
 だけど、その運命を回避する、無限の可能性を秘めた人がいる。
 その人は、隼人でさえも、その存在を知らない人って事になるよね。
 ……だから、その人に出会えば、何かが変わるのかもしれないよ?」




はっきり言って、脱帽する。
彼、恵の能力は、瞬間移動と透視。
彼の場合、瞬間移動も透視も、自分が知っている範囲なら、
どこにでも移動する事が出来るし、見通す事が出来る。
逆に、自分が知らない事は、どんなに頑張っても出来ない。
































とはいえ、彼は、自分が思っている以上に頭が切れる。
さしずめ、カード上では、司祭長、法王に値する。
隼人が彼を気に入り、傍に置く理由の一つだ。







「なるほどね。
 そういう事なら、早くその人を見つけ出さないと、な。
 とはいえ、一般人の中にいる可能性は、ほぼないだろう。
 ……なら、…………分かるよな、恵?」




「うん、そうだね。
 この学園には、ありとあらゆる所から、能力者及びその予備軍が
 集められているからね。
 もう、能力者の中にいない事は、僕達が一番よく分かっているから、
 この学園にいる人の中で、まだ能力を見つけていない人の中に
 いる可能性が高い。
 だから、…………それとなく、探りを入れれば良いって事だよね?」

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